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肝がんのラジオ波治療(がん治療センター ニューズレター第20号)

がん治療センター ニューズレター第20号(2016年1月)の記事を転記させていただきます。

肝がんのラジオ波治療

順天堂大学医学部附属順天堂医院 消化器内科(消化器画像診断・治療研究室)教授 椎名 秀一朗

はじめに

ラジオ波治療では皮膚を2、3ミリ切開し、超音波でがんを確認して、直径1.5ミリの電極針を挿入し、高周波を流してがんを焼き切ります(図1)。全身麻酔や開腹手術は必要ありません。肝硬変患者や高齢者でも治療が可能です。また、ラジオ波治療は侵襲(身体の負担)が少ないため、再発に対しても治療が可能です。世界の治療実施数を見ますと、米国が14,400件、中国が9,500件、イタリアが5,600件に対し日本は38,000件と際立っています。


図1:ラジオ波治療の模式図

図1:ラジオ波治療の模式図


順天堂のラジオ波治療の特徴

1. 群を抜いた治療実績

当院には、他院では治療困難とされた症例が国内外から紹介されてきますが、人工腹水法人工胸水法造影超音波フュージョンイメージングなどを用いることにより、ほとんどの症例でラジオ波治療が可能となっています。私が前任地(東京大学)と当院で実施したラジオ波治療は9,800例を超え、世界でも最多と思われます。私は2012年12月から順天堂での治療を開始しましたが、2013年からは順天堂の治療数が最多となりました。私たちは世界で初めてラジオ波治療の10年生存率について延べた論文を発表しています(Shiina S, et al. Am J Gastroenterol 2012)。

2. 世界最高水準の設備

順天堂では、最新の超音波装置を使い、天吊り式のディスプレイでCT画像等を参照しながら、特別仕様の手術台を使用してラジオ波治療を実施しています。また、専用の超音波プローブを使用していますが、これは私が医療機器メーカーと開発したものです。医師以外に技師や看護師、看護助手が専属配置され、造影超音波やフュージョンイメージングも円滑に利用できる環境です。このような施設は海外にも存在しません。

3. 全身麻酔なしの無痛ラジオ波治療

順天堂では痛みのないラジオ波治療を実施しています。ペンタゾシン、ヒドロキシジン、ミダゾラムといった一般的な鎮痛・鎮静剤の使用を工夫することで、患者さんが眠った状態で治療を終了しています。一般的にはラジオ波治療の際には、電極を挿入するため患者さんに息を止めてもらう必要があり、患者さんは起きた状態です。しかし、順天堂では技術と経験により、患者さんが息を吐いて呼吸が止まった一瞬のタイミングで電極を正確に挿入することができます。このため、患者さんが眠った状態でラジオ波治療が可能です。

4. 転移性肝がんや肝外病変にもラジオ波治療を実施

従来、転移性肝がんの治療の第一選択は肝切除とされてきました。肝切除以外では5年以上生存することは困難と言われてきたためです。しかし、私たちは大腸がんや胃がんの肝転移などにも積極的にラジオ波治療を実施しており、ラジオ波治療後の10年以上生存を達成しています。また、日本では肝がんを対象とした場合のみ健康保険で認められていることもあり、「ラジオ波治療」イコール「肝がんの治療」とになっています。しかし、私たちは前任地(東京大学)で副腎転移、リンパ節転移、骨転移、胸腹壁播種などにもラジオ波治療を実施してきました。順天堂では肝外病変に対する治療を円滑に実施するため、臨床試験として正式に登録しています。

5. ラジオ波治療トレーニングプログラム

順天堂はラジオ波治療全体のレベルアップに貢献したいと考えています。ラジオ波治療は全国1000施設以上で行われるほど普及していますが、施設間の技術格差がまだまだ大きいことが問題視されています。このため、研修希望者を受け入れています。また、ラジオ波治療トレーニングプログラムを計6回実施し、全国各地から受講者が集まり好評を得ています(図2)。海外からの希望者もいるため、国際版のプログラムも開始しました。


 図2:ラジオ波治療トレーニングプログラムのライブデモンストレーション

図2:ラジオ波治療トレーニングプログラムのライブデモンストレーション


  1. 詳しくはラジオ波治療の解説サイトhttp://livercancer-therapy.jp/ をご覧ください。

  2. 「順天堂」、「ラジオ波解説」でも検索できます。

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